意識をプログラミングするには #3
現在公開中のポッドキャスト「意識をプログラミングするには」をテキストでご紹介します。
出演:石井敦(クーガーCEO) / 本村淳(クーガー キャラクターAIデザイナー)
今回は全3エピソードの第3回目です。
本村:前回は、入力を受けてパターンマッチングするループのアウトプットが意識や行動につながっているという話をしました。ジェフ・ホーキンスの著書に「意識はひとつの強力なアルゴリズムでできているはず」というようなことが書かれていました。この本を読む前から私も、意識はとてもシンプルなひとつの「なにか」で処理しているのではないかと考えていたので、この考えにとても納得しました。
同書に「ひとつの強力なアルゴリズムと普遍の表現で知能が実現できる」という一節があります。私が記憶のことを勉強する中で、この「普遍の表現」というのが重要なキーであり、ディープラーニングの学習済みモデルが「普遍の表現」に近いと思いました。私が「曖昧なパターンマッチング」と呼ぶ真のルール、これが「理解」だと思っています。
真のルールを得ていると、他への応用ができるようになります。例えば、本はパタパタと開く。また、蝶も羽をパタパタと開く。この2つの似た動きをマッチングし、本を蝶のようにパタパタと飛ばすことができるのではないかというアイデアが生まれます。真のルールを理解していれば、物の一部分を取り出して応用ができる。これが柔軟で曖昧なパターンであり、ディープラーニングの学習済みモデルの延長にあるものだと思うのです。
石井:地球上にある物理法則に基づいたものの共通項のようなものを、何の先入観もなく考えられる、ということですね。様々な視点の共通項があれば、物理法則上すべての物を作ることができる、ということですよね。
本村:そうですね。ディープラーニングにはまだ不足している部分があるかもしれませんが、これが発展していけば普遍の表現や、ほぼ人間の記憶に近いものができるのではないかと思っています。そうなれば、それに感情を当てはめて、パターンマッチングの処理を作れば、全体のループの中の小さなループが概ね可能になると思います。時間をかけてループを回せば、意識が完成するのではないか、という考えです。
石井:AGI、つまり汎用人工知能ですね。機械学習のブレイクスルーは、以前はすべて人間が行っていた「特徴量」を自動的に探せるようになったこと。これこそがディープラーニングの強みなので、柔軟で曖昧というのはその通りです。今はまだそこに達していないのは、経験や自分の感覚に基づく視点、特徴、汎用的なパターンを見つけ出すのが人間に比べてまだ弱いように思いますが、何でも見つけ出せるようになると、強いですね。
本村:人間ほどの汎用性はないにしても仮装認識は部分的にですが「柔軟で曖昧なパターン」を認識できていると思います。人間との差はデータ量、処理不足でしょうか?
石井:人間と同様の機能は量子コンピューターレベルになりそうですが、大枠のルールを与えれば概ね認識できるようになると思います。例えば、店かどうかを判断するなどの常識や経験で人間が自動的に絞り込んでいる大枠をAIが絞り込めるようになれば、AIが人間並みに、もしくはそれ以上に認識できる可能性があります。
ある意味、それをやっているのがDeepMindのAI「AlphaCode」ですね。ゲームの一つのルールを入れていると思いますが、その一つのルールが「地球」になった時が一番すごいですよね。
本村:自己対局で獲得していけます。勝ち方も「真のルール」だと思うんですよね。たとえば棋士の方などは対局を繰り返すことでどうやれば勝てるのかが直観でわかる域に達しており、まさにディープラーニングです。先ほど、膨大な選択肢の中からある程度絞る機能の話をしましたが、一定量ずつ絞られたルールを統合するような動きはあるのでしょうか?
石井:いろいろなところで進められていると思います。量の問題は絞ることで解決できるとして、次に判断の重要度が課題としてあると思います。
本村:その課題の解決は「感情」だと思います。神経科学者アントニオ・ダマシオさんの本で、海馬が損傷したある患者の例を挙げていて、感情が希薄になると判断ができなくなるらしいのです。どれがいいのかを選ぶことや判断ができない。目的設定、つまり何かをするためには快不快などの感情が必要になるので、記憶の認識システムの中にそれを組み込まないと、人間らしくはならない気がします。
石井:人間は無数の選択があるうち、「感情」で一気に分類大別するからこそリアルタイムに判断できている。しかし、暇にならないと新しいことを考える余裕は生まれないので、日常の細かい不快を避けつつ行動し、暇という不快状態になると、いろいろと想像=創造し始めるのですね。
以上、本村さんと意識の仕組みについてお話しました。ありがとうございました。

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