『意識』について #3
バーチャルヒューマンラボ副所長の手記を複数回に渡り公開中です。できるだけ人間に近い処理をするシステムを作り、社会の役に立てたい、そのためにどうすればいいかを考察した記録です。
現象的意識を切り離した状態で、意識が持つ機能について考える
(=哲学的ゾンビをどうやれば実現できるかについて考える)
・「意識がある」「意識がない」という言葉で表現される機能
・機能全体が稼働している状態と稼働していない状態を切り替える、または段階的・漸次的に変化させる機能
・神経回路の情報伝達ループに由来すると想定して機能面を考える
・秒間7–10回(7–10Hz, 100–142.8ms)のループ処理によって現象的意識を生成する
リベットの準備電位の実験により意思決定→動作開始まで200ms
意思決定した瞬間に被験者が見ていたタイマーの時間と、実際にボタンが押された時間、その前後の脳波の記録を分析した。
結果:脳波が準備電位を示す→300ms→意思決定→200ms→動作開始
麻酔中や睡眠中(ノンレム睡眠)は0.5Hz(2000ms)まで低下する
集中時は14–30Hz(33.3–71.4ms)まで上昇する
脳波と対応している
α波(覚醒時-通常) 8–13Hz(76.9–125ms)
β波(覚醒時-集中) 14–30Hz(33.3–71.4ms)
θ波(まどろみ) 4–7Hz(142.8–250ms) レム睡眠中は比較的早いθ波になる
δ波(深い睡眠時) 0.5–3Hz(333.3–2000ms) 麻酔中もδ波、現象的意識が発生しなくなる。
レム睡眠中に体が動かないのは扁桃体→脳幹→α-運動ニューロンに麻痺させる信号が出ていて、車でいえばクラッチを切っているような状態になっているらしい。 (寝言など体が動いてしまう人はクラッチを切りきれていない)レム睡眠中に夢をみるが、夢は「外界からの刺激(入力)がない状態で、脳内にある情報だけで生成される現象的意識」だと思われる。
ボタン連打のような単純な作業はトップランカーで1秒間に16回ほど。(CPSの計測サイトより)秒間16回のとき62.5ms、中央値(一般人)は秒間6.69回で149.5msくらい。
格闘ゲームなどで反応の限界が10フレームと言われていて、60fpsのゲームなので10/60=166msくらい。入力動作という運動神経への伝達時間が含まれることを考えると、50–100msで刺激を受け取って判断・意思決定→50–100msで筋肉を動かすという感じだろうか?
※実験でも視覚刺激に対するボタン押しの単純反応時間は150–300msほどで、刺激モダリティの違いによる単純反応時間は 聴覚・触覚<視覚<味覚・嗅覚 になるらしい。(触覚と聴覚が速い)
普段の覚醒時に8–30Hzで視覚刺激を処理しているのは遅すぎる。 (人間は明らかに30fpsと60fpsの違いを認識できる)
8fpsで動作していると肉眼でストロボ効果(走っている車の映像でコマ落ちによってタイヤが停止・逆回転して見える現象)が発生しそう。
※肉眼でもストロボ効果が発生するという話もある。 (120Hzの照明によってコマ落ちしてるだけで太陽光では発生しないのではないかという説明あり)
しかし、反応限界などを見るに現象的意識の発生は脳波の遅さであっているように思う。ということは、視覚刺激などは現象的意識のループよりも多くの入力を受け付けていて、それらを配列のようなものに貯めて1回のループの中で一気に処理している?
そうすることのメリットが結構ある気がする、連続的な映像 = 動作を知覚できる。
映像的(時間的)な知覚は注意の制御に使えるし、動詞系の言語の理解にも繋がりそう。
あと、人間は3Dキャラクターのモーションファイルのような動作の記憶を持っているはずで、それも作りやすい。
他にも、光と音のように速度が異なるが、同じ事象から発生したものを、発生源が同じだと処理できる可能性が上がりそう。
2つの刺激が異なる時点で発生したとき、それが同時に発生したように感じられる時間の幅のこと。
視覚 20–30ms(33.3–50Hz)
聴覚 5ms(200Hz)
触覚 10ms(100Hz)
2つの刺激が別々の刺激であると知覚されるためにはこの時間以上の間隔が必要。
やはり現象的意識のループよりも明らかに速く、刺激(入力情報)を複数回取れているように思う。
音源 (音の発生源)が複数ある場合でも任意の音源だけを聞くことができる現象。
白シャツのグループと黒シャツのグループがバスケットボールを回してる映像を見て白シャツグループのパスの回数を回答する実験。映像の途中でゴリラの着ぐるみが通過するが、50%の被験者がゴリラの存在に気づかなかった。
会話中に話がそれて何の話だっけとなることがある。言語処理がメモリを大量に消費するし、前の話題の注意対象が上書きされてると思われる。しかし、がんばれば元の話題を思い出して戻ることができる、これは何なのか。注意では説明できないような。
現象的意識がエピソード記憶の基だとすると、それを体験履歴のような感じで一定期間分保存しており、それにアクセスして、ワーキングメモリに展開するような処理ができるようになっている?

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