クーガーびとのこだわり #4
非日常の絶景が 私を山へと誘う
小石原 加奈
クーガー プロダクトマネージャー
京都府出身。大学では哲学を専攻。登山以外にも読書や鉄道旅を楽しむ。好きな本は「フェルマーの最終定理」(サイモン・シン)、「カラマーゾフの兄弟」(ドストエフスキー)、好きな路線は鶴見線、篠ノ井線、八戸線。
-登山に興味を持ったきっかけは何でしょうか?
私は京都生まれなのですが、子供の頃に家族で尾瀬や熊野古道をハイキングに行って自然の中を歩くのがとても楽しかった思い出があり、漠然と山に登ってみたいと思うようになりました。でも関西には標高の高い山がなかったこともあり、学生時代はまだ本格的な登山は経験していなかったです。
-では社会人になってからスタートですか?
はい。就職で上京して、会社で仲良くなった同期の女性と「富士山に行ってみよう」という話になり...
-最初から富士山ですか!
はい。初心者には少しハードルが高かったです。その同期の彼女は九州出身の登山好きで、「東京にいるなら山梨とか長野の山に行きやすいよね」という話になって、そこからいろいろな山に登るようになりました。
-素敵な出会いがあったのですね。
そうですね。彼女は日本の「百名山※」すべての登頂を目標にしているような人で、私も触発された感じです。
※百名山:文筆家で登山家だった深田久弥氏が実際に登頂した日本の各地の山のうち、自ら定めた基準で名峰100座を選び主題とした山岳随筆集および、そこで紹介された山々。初版は1964年。
-百もあるとは、気が遠くなります。現在までにどれぐらいクリアしているのですか?
私自身はそこまで百名山制覇に強いこだわりがあるわけではないのですが、3割ぐらいは登りました。
-こだわらずとも30箇所クリアされているとはすごい。でも百名山に入っていない山でも良いところはたくさんあるのでしょうね。
そうなんですよ。たとえば、東北地方にある秋田駒ケ岳や栗駒山は百名山には入っていませんが、素晴らしいところでした。
秋田駒ケ岳のムーミン谷と呼ばれるところには毎年6月ぐらいに「チングルマ」という可愛らしい高山植物が咲き誇るんですが、私が行った時は天気が悪く、ムーミン谷の奥の方までは行けなかったので、絶対にリベンジしたい山のひとつです。
-確かにこれは壮大で感動的ですね。見に行ってみたいです。
秋田駒ケ岳は八合目までバスで行けるので、初心者の方にも超おすすめの山です!しかも乳頭温泉が近くにあるんです。登山の後の温泉は最高ですよ。
-それは最高でしょうね。東京から近場だとおすすめの山はありますか?
はい。東京近郊だと高尾山は外せないですね。奥高尾と呼ばれるエリアの小仏城山(こぼとけしろやま)が好きで、よく登りに行きます。毎年12月に山仲間たちと小仏城山の山小屋で忘年会をしているんですよ。

高尾山から市街地を臨む(本人提供)

小仏城山での鍋パーティ(本人提供)
-楽しそう!食べ物はどうしているんですか?
登山仲間が鍋を担いできてくれるので、毎年、みんなでつまみや飲みものを持参して楽しんでいます。山頂には茶屋もあるので、そこでいろいろ注文することもできますよ。寒い山であったまる鍋は、最高です(笑)。小仏城山は日帰りで行けるし、何回行ったか分からないぐらい行ってます。
-そんなに行っているんですね。一年を通して、どれぐらいの頻度で登るんですか?
毎月1回、といった明確なペースのようなものはないのですが、夏は毎年必ず北アルプスに行きたいと思っています。春と秋はもう少し行きやすいところ、冬は先ほど話した小仏城山のような雪の降らない近郊の低山に行く、といったイメージですね。冬のいいところは、低山でも空気が澄んでいて絶景を楽しむことできて、虫がいない(笑)。
-ハチとか怖いですもんね。

北アルプス、唐松岳にて(本人提供)
-では北アルプスについて伺いたいのですが、エリア内に多くの山があると思います。これまでにどれぐらい登頂されましたか?
3〜4箇所です。北アルプスにはまだまだ未挑戦の山がたくさんあって...「表銀座」という4日ぐらいかかる縦走コースがあるんですが、そこを踏破するのが目標です。
-4日間も!山小屋の存在が大きいですね。
はい。北アルプスの山小屋はいいところが多くて、印象に残っているのは燕岳(つばくろだけ)にある「燕山荘(えんざんそう)」という山小屋です。綺麗で食事も美味しく、景色も素晴らしくて、ここで飲んだ生ビールは人生最高の一杯でした。燕岳は私も初めて登った北アルプスの山で、道中に危険箇所もさほど多くなく、北アルプス登山の入門としておすすめです!

桜の名所でもある、北アルプス光城山からの風景(本人提供)
-北アルプスでは珍しい動植物が見られそうですね。
いろいろと珍しいものを目にしてきましたが、その中でも北アルプスではオコジョ※を見ることができたのがうれしかったです。とあるエリアに雪渓があり、そこを通りかかったら登山者たちの歓声が聞こえてきて、見に行ったら走り回るオコジョがいて...それはそれは可愛くて、感動しました。
※オコジョ:イタチ科イタチ属に分類される動物。日本国内では準絶滅危惧種に指定されており、目にすることは稀と言われている。
-可愛いですね!かなりレアでしょうし、見れたら福が舞い込んできそうですね。
引用:Adobe Stock
-ふだん、登山のためのトレーニングはしているのでしょうか?
はい。北アルプスの山々は歩くだけでなく、両手を使い、岩を掴んでコースどりをして登っていかなくてはならない場所も多いので、ボルダリングジムで鍛錬しています。登山の予定日に天気が悪くて中止になったら仲間とジムに行ったりしますよ(笑)。
-その切り替えの速さはすごいですね。
もしくはモンベルに行って山関係のアイテムをお買い物とか。山に行けなくても楽しいです。
-私はサイクリングが好きなのですが、地図を見ているだけでも楽しいみたいな感覚がありますよね。では他に印象的だった山はありますか?
北アルプスの白馬岳の山頂から見た景色が忘れられません。北アルプスでも日本海寄りのところで、海が見えるんです。標高2,932メートルの高さから見える海は蜃気楼のようで、幻想的で、この世のものとは思えない美しさでした。
北アルプスから一気に下って日本海の親不知海岸まで歩いて行ける「栂海新道(つがみしんどう)」というルートがあるので、いつか踏破したいです。
-全長27kmって書いてありますよ...海あり山ありのすごいコースですね。では関東近郊で初心者におすすめの山は他にありますか?初心者が留意するポイントがあれば、合わせて教えてください。
まず、気軽に登れて絶景が楽しめるという点で一番のおすすめは山梨県の「大菩薩嶺(だいぼさつれい)」です。バスである程度高いところまで行けて、さらに稜線歩きもできて、富士山がとても綺麗に見えるんです。

山梨県の牛奥ノ雁ヶ腹摺山から臨む富士山(本人提供)

大菩薩嶺の稜線を歩く(本人提供)
あとは先ほども話した奥高尾です。小仏城山よりさらに奥にある、陣馬山もとてもいいですよ。標高はさほどありませんが、コースによっては7時間ぐらいの本格的なトレッキングが楽しめます。もっと気軽な感じなら、青梅丘陵、鎌倉アルプスなど、近場に良いところがたくさんあります。
初心者の方は、ぜひ早めにしっかりした登山靴を手に入れることをおすすめします。最初はスニーカーでも登れるような低山から始める方が多いと思いますが、それでも登山靴で歩くと違いがはっきりと分かるはずです。山道を歩く際の足の安心感が段違いです。ネットでレンタルできるサービスもあるので、いきなり買うのはちょっと...という方にはこちらをおすすめします。
-ハイキング程度でも登山靴を履くのが良いのですね。参考になります。では最後に、これからの人生で、いつか行ってみたい山はありますか?
行ってみたいのはヒマラヤです。以前スイスまでマッターホルンを見に行ったことがあって、絶景が素晴らしかったです。登るのはもちろんハードルが非常に高く、誰でも挑戦できるものではないのですが、6,000メートル級の山々を見ながらトレッキングするだけでも感動的だろうな、と思います。いつか実現させたいですね。


マッターホルンの風景(本人提供)
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