あらゆる状況を学習させるシミュレーターは可能か? #2

現在公開中のポッドキャスト「あらゆる状況を学習させるシミュレーターは可能か?」をテキストでご紹介します。
これまで取り組んできた学習シミュレーター開発での気づきや、GAN(Generative adversarial networks 略称: GAN)による画像生成AIのような新技術の登場によりどのような展開が期待されるか、バーチャルヒューマンエージェントの行動制御を担当する染谷洋介とクーガーCEO石井敦が語ります。

フェイクがリアルを補うシミュレーター

石井:今、画像生成AIが流行っていますが、これを学習シュミレーターに拡張したらどうなると思いますか。

染谷:GANの癖みたいなものが出るのではという懸念がありますね。なんらかのアルゴリズムを元に生成していると思うので。色々な種類のモデルを作れば、違ってくるかもしれません。GAN自体が色々な学習データを使っているので、効果はあると思いますが、癖は出る気がします。

石井:画像生成AIは、大雪の渋谷みたいな滅多に起きない状況を学習させるのには向いていると思います。一方で、状況を厳密に特定することはできない。映画みたいにこっちに50人女性がいて、あっちから3人男性が歩いてきて、子供もいて、とかそういうものは作れない。なんとなく本物っぽいものを大量に作って、なんとなく賢くなるけれど、最後の重要なところを学習させるのには、まだ難しいように思います。

染谷:学習させるポイントとして、何を学習させる必要があるかというのは突き詰めて考えた方がいいと思います。データ数ももちろん大事ですが、学習データ自体の精度も大事です。そういう意味で、何かの学習に特化したCGシミュレーターとかはいいと思います。

石井:ベストはリアルのデータとフェイク、つまりCGもしくはAIが生成したデータがあり、なんらかのアルゴリズムが自動的にリアルとフェイクを組み合わせて学習する、もしくは学習結果をテストするといったような、全部組み合わせて自動でできると一番いいですよね。

結局、学習シミュレーターがなぜ必要かというと、学習の網羅性を証明するためなんですよね。なので、リアルで足りないところをフェイクで足す。汎用性を上げるということですね。そういう、現実とフェイクが合体した学習シミュレーターが出てくるかもしれません。もっとこういう技術があれば、学習シミュレーターを良くできるということはありますか?

3Dモデルのシミュレーター学習への活用

染谷:3Dモデルが圧倒的に足りていないので、ゲーム業界からグランド・セフト・オートのようなCGの3Dモデルを無料やオープンに公開してもらえると、ブレイクスルーが起きる可能性があります。チャレンジする企業も増えてくると思います。ゲームを作ってそれっきりというのも勿体ないですし。

石井:ゲームで作っている3Dモデルは結構見た目的に癖があるので、そのままシミュレーターの学習に使えるかというと難しいですよね。

染谷:はい。当たり判定やライダーに使おうとしてもすこっと抜けてしまうかもしれないですね。見た目は整っていても中がボロボロだったりして。

石井:結局、物体感や色などもゲームの世界観に合わせているので、その癖を結局取らないと学習シュミレーターには使えませんよね。

染谷:そうですね。同じような建物が続いたり、偏りや癖が出ているので、理想的とは言えませんが、とはいえモデルをいちから作成すると多大な時間とコストがかかるので、世の中に無料の3Dモデルがたくさん出てくると有難いと思います。

石井:なるほど。では例えばAIが写真を無限に生成できるようになったら、ゲームの3Dモデルの無料コンテンツはどちらが使えるのでしょうか?今以上に綺麗な生成写真ができるとしたらどうでしょう。

染谷:写真は定点なので、単純に人物や物体を検出したい時には有効ですが、特定のシーンや複雑な学習などには向かないのではないでしょうか。

石井:認識させてテストするには定点の画像でも有効だけど、その世界に入って学習させるとなると3Dを動かす必要があるので、やはり学習させるシュミレーターには3Dモデルは必要かもしれないですね。

染谷:写真だけの場合、3次元からの視点に加え、影などの「なじませ」が難しいと思います。安易に2次元のデータを突っ込んでも全然馴染まずに悲惨な結果になることがあります。

石井:確かにそうですね。自動的に計算して写真から3D生成する技術はかなり以前からあります。今もその技術が新しく出続けていて、その度に、これはすごい!となるけれども、実は毎回使い物にならない、そんな感じですよね。建物とかだけじゃなく、写真から人物の3Dを起こすと、微妙なところがつじつまが合わないというか、うまくいかないですね。

染谷:スキャンもいいんですけど、結局、2次元から起こしたもののクオリティに妥協できないので、ゼロから作り直すことになっているのが現状です。

石井:そうですね。写真も活用しつつ、オープンアド系のゲームなんかで作っている3Dモデルのものが色々あればいいですね。

「学習させるシュミレーター」は、今後も非常に重要なテーマだと考えており、我々クーガーも常に年頭に置いてレイチェルの学習などを進めております。今後、実際のデータとゲームなどの視点の融合に取り組んでいきたいと思っております。

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