CES 2026 レポート:自動運転の産業化とヒューマノイドロボットの台頭



Text by Tomoyuki Kage


2026年1月、ラスベガスで開催されたCES 2026に弊社のCEO石井と共に参加してきました。今回は会期を通して会場の展示やプレゼンテーションを見て回り、とくにロボティクスバーチャルヒューマン自動運転に関する最新の取り組みを調査しました。


ロボティクスの最前線


会場内では、多様なロボティクス展示があり、多くの人々を集めていました。中でも目立っていたのは、家電系ロボット(ホームロボット)の領域です。家庭向けのサービスロボットがCESの主要な展示として紹介されていました。


例えば、スマートホーム向けのロボット掃除機や、特定の家事タスクを想定した製品が複数の出展者ブースで見られました。こうしたロボットは、単体で動作する小型のものから、センサーやAIを統合しながら特定の機能を持つものまで幅広い形で展示されていました。



RoboSenseは、中国発のLiDAR(レーザー測距センサー)メーカーですが、ロボットの展示も行っていました。元々別のジャンルの会社でCESではロボットを展示していた企業を多数見ることができました。



SwitchBotは、日本発のスマートホーム機器メーカーですが、家庭向けヒューマノイド型ロボット(onerо H1)を展示していました。従来のスマートホーム製品群に加え、こういったロボットへの拡張戦略を見ることができました。



Segwayはもともとパーソナルモビリティで世界に知られる企業ですが、芝刈りロボット「Navimow」を展示していました。屋外向けの自律ロボットとしては自動運転技術を小型でかつ民生用に考案されたもので、今後も注目されると思われます。



中でもLGのプレゼンテーションは、家のセットを用意し、そこで動くロボットを見せることで自社のロボットがどのように家庭で動くかをわかりやすく表現していました。

また、テニス、卓球、音楽を弾くロボットなどアミューズメントに特化したロボットは人々の注目をさらっていました。





CESの会場全体で、中国系メーカーによるヒューマノイド展示が溢れていました。外観デザインは黒やグレーを基調とした人型フレームが主流で、サイズ感やプロポーションも非常に似通っていました。遠目には企業ロゴを確認しなければ区別がつかないほどです。



ただし、どのロボットも非常に限定されたユースケースだけに特化されていて、汎用性という意味ではまだまだ時間がかかるのかなというのが個人的な感想でした。


バーチャルヒューマン展示


バーチャルヒューマンを扱った展示もいくつかありました。

人と会話するインタフェースを持つものや、スクリーン上で人間に似せたキャラクターが動作するタイプの展示が出展されていました。



Hypervsn社の空中3Dホログラフィックディスプレイ上に表示されたAIアバターです。回転型LEDブレード技術を用いて、透明スクリーン上に人型の立体映像を映し出していました。



Humanizing Technologies のデジタルヒューマン接客端末「HumanBeam Demo」。縦型ディスプレイに映し出された等身大アバターは存在感が強く、単なる映像というより“そこに立っている人”を意識した設計なのかと感じました。



P3 Labs のブースでは、等身大のデジタルヒューマンが来場者を迎えていました。縦型ディスプレイに映し出されたアバターは、マイクを通じてリアルタイムで対話が可能でした。物理的なロボットではなく、AIと映像表現によって人間らしさを追求するアプローチが印象的でした。



MaSAI Lab のブースでは、「AI Recruiter Agent」を前面に打ち出していました。人事領域に特化したAIエージェントという位置づけで、面接の効率化やコスト削減を訴求していました。


見た目や会話のリアルさに重点を置いた展示が多かった一方、同じく人間の行動に関わるAIや自然言語処理技術を利用した取り組みもあり、バーチャルヒューマンの可能性がさまざまな方向で提示されていることが確認できました。


自動運転車両


会場周辺ではAmazon傘下であるZooxの自動運転車両が走行しており、来場者が乗車を試みている場面も見られました。これはCESの展示フロアでも下記のように展示されていましたが、実際の道路空間でも自動運転技術の実例を目にする機会となりました。




筆者もアプリでZoox を何度も呼ぼうとしましたが、毎回数時間待ち状態となってしまい、今回の滞在中には残念ながら乗ることはできませんでした。


また、 Waymoは米国では既に普段のサービスとして展開されており、筆者もカリフォルニアで何度か乗車した経験があります。実際の料金は他のライドシェアと比べても近く、時間帯によっては自動運転サービスの方が安くなるケースもありました。こうした状況は「実運用が進んでいる」とひしひしと感じています。



CESの展示でも世界中からの来場者に注目を浴びていました。



BOE Technology Group の「HERO 2.0」と名付けられたコンセプトモデルは、同社の車載向けディスプレイ技術を体験できる“スマートコックピット”のデモ機。曲面ガラス越しに広がる大型パネルや、シームレスに組み込まれた表示技術が特徴でした。

自動運転レベルが上がるとドライバーの役割が変わるため、車内ディスプレイの重要性は増します。その意味で、自動運転時代を見据えた車内体験の提案という意味合いを感じました。

Sony Honda Mobility の車両展示も、自動運転そのものを前面に出した内容ではありませんでした。ただし、試乗を通して感じられたのは、自動運転時代を見据えた車内体験の設計です。



音楽や映像といったエンターテインメントを中心に、移動時間をどう価値化するかに重点が置かれていました。技術そのものよりも、“車内でどう過ごすか”という視点が強く印象に残りました。



横長のスクリーンと車内の音楽体験は映画館のようなゴージャスなものでした。


自動運転コンポーネント提供の流れ


CESの自動車技術展示では、完成車メーカーだけでなく、部品・ソフトウェアレイヤーの企業の存在感も目立ちました。中でも自動運転技術を構成するコンポーネントやプラットフォームとしての提供が目立っていた点が特徴だと感じました。


とくに存在感があったのが Amazon のAWS(Amazon Web Services)関連展示です。AWSは「Automotive」カテゴリでブースを構え、パートナー企業とともにクラウドベースの自動運転開発支援技術を紹介していました。AWSの展示には、AIモデルのトレーニングやシミュレーション用のクラウドサービス、自動運転ソフトウェアの設計・バリデーション環境などが含まれており、自動運転開発のライフサイクル支援を意識した展示となっていました。



会場では、AWS側の展示が自動運転の構築に必要な要素技術をパートナーとともに提示しており、具体的には登壇企業として NVIDIA による合成データ生成の技術や、Fujitsu・Siemens・Snowflake などが自動車のソフトウェアやデータ処理基盤の領域で名前が挙がっていました。



LightIC Technologies のブースでは、LiDARによるリアルタイム点群データの可視化デモが行われていました。大型モニターには、人や物体を三次元で捉えた点群と認識結果が表示され、センサー精度や処理能力をアピールしていました。

たとえば、Sonatus のように、車載向けAIやソフトウェア定義車両(SDV:Software-Defined Vehicles)向けのプラットフォームを提供する企業がブースを構えており、パートナー企業とのデモや連携事例を紹介していました。

このような状況からは、「自動運転や車載AIを構成するための技術レイヤー」を提供する取り組みが、CESという場で顕在化していることが確認できます。


まとめ

CES 2026では、ロボティクス、バーチャルヒューマン、自動運転の展示が多数出展されていました。その中には、家庭用ロボットや対話型のバーチャルキャラクター、そして自動運転技術を支えるクラウド・ソフトウェアコンポーネントの紹介が含まれており、ハードウェアとソフトウェアの両面で実装に向けた具体的な技術が示されていました。


引き続きCESの展示内容は、個別の技術がどのように組み合わされ、実際のユーザー体験や社会のインフラとして使われていくのかを観察するうえで重要な情報源になりそうです。



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